2022.03.04
〈黒伊佐錦〉誕生秘話【研究開発の苦労や楽しさ、ものづくりの醍醐味がここに】
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まろやかな口あたり、やわらかい香り、ほんのりとした甘さ、そして深いコクが特徴の〈黒伊佐錦〉が世に登場して今年で35年。
〈黒伊佐錦〉がどのようにして造られたのか?大口酒造が2020年に発行した「大口酒造50周年記念誌」よりご紹介します。
大口酒造の代表銘柄〈黒伊佐錦〉。
今では日本中に広く知られている銘柄ですが、誕生するまでのストーリーはあまり知られていません。
〈黒伊佐錦〉の開発を担当した緒方 新一郎(現在の社長です)による、今だからこそ話せる苦労話が「大口酒造50周年記念誌」に掲載されています。
NK菌との出会い
時は1984年、大口酒造に入社した緒方社長。
当時、大口酒造では黒麹を使った芋焼酎〈関白〉に次ぐ新商品の開発がスタートし、緒方社長はその開発を一任されていました。
実は銘柄名とラベルだけを変えて、新商品として発売する案もあったようですが、新しい商品を世に送り出すなら名前も味も一新しようと研究がスタートしました。
研究を重ねるうちに種麹屋の「河内源一郎商店」にNK菌(ニュークロ)という新しい菌があるとわかりました。この「NK菌」、どのような菌か特性がわからない上に、どの製造元も使っていないというので、緒方社長は研究を進めることにしたそうです。
研究を進めていくうちに、不思議に思うことがありました。通常黒麹菌を使うと、クエン酸が大量に生成されて表面が黒い胞子で覆われるのに対し、NK菌はクエン酸が少なくて表面がそれほど黒くならないというものでした。
ここで一つの仮説が生まれます。この菌には黄麹菌が存在しているのではないか?というものでした。
一般的に黄麹菌はクエン酸生成が少なく、胞子の色も黒くありません。その仮説をもとに麹造りを始めました。しかし、うまくいかない。1988年、社内に研究室が新設され、研究を進めるにつれ、NK菌は黒麹と黄麹が混在しているのではなく、黒麹の突然変異の単菌ではないか?という結論に至りました。その考えに基づいて麹造りを重ねた結果、ようやく〈黒伊佐錦〉の製麹方法が確立したそうです。
開発は黒麹との戦い
新しい黒麹の製麹方法はどうにか確立されました。
ただし、黒麹を使用すると一般的に作業性が悪いと言われていました。その理由として、黒麹を使うと、衣服だけでなく鼻や耳の穴までも黒い胞子がつくことや、とげ状の小さな突起を持った胞子は吸い込んでしまうと粘膜を傷つけてしまうため。作業を行う際はマスクを着けたり、体にタオルを巻くなど作業性が悪く苦労していました。
黒麹の扱いづらさを知っている社内の上層部からの反対の声やプレッシャーも多かったそう。「だからこそ逆に『やってやる』と一致団結できたんです。」と、緒方社長は話します。
緒方社長は諦めることなく商品化に向けて邁進しました。
そしてついに、緒方社長はNK菌の特性を見い出し、何度も試行錯誤を重ねて、濃醇で甘みのある〈黒伊佐錦〉独特の味を完成させました。
〈黒伊佐錦〉の開発で最も苦労した点は、菌の特性を見極めることだと緒方社長は振り返ります。菌の特性が分かった時に、〈黒伊佐錦〉の完成が見えていたのかもしれません。
〈黒伊佐錦〉の完成
〈黒伊佐錦〉の完成にはNK菌の特性を見い出すことが必要不可欠でした。NK菌の特性を突き止めるまでの過程には、研究開発の苦労や楽しさ、ものづくりの醍醐味のすべてが込められています。
また、焼酎を造るにはまず良い原料を使わなければならない。伊佐地方は良い米と良い水があり、焼酎造りには恵まれた環境でした。NK菌の特性を掴むことが最も苦労した点ですが、原材料となる米や水も新しい味を造るためには欠かせない要素です。
焼酎造りで最も大切なことは何なのか。
「仲良く酒を造ること」と緒方社長。
焼酎造りの技術や職人としてのプライド、地域を思う心、そして全員でひとつのものづくりに挑む覚悟。〈黒伊佐錦〉には大口酒造が守り続けてきたすべてのものが込められています。
「和気あいあいと、おいしい焼酎を造ろう。」
〈黒伊佐錦〉は発売後、鹿児島県内でたちまち人気となり、その熱は九州、全国へと広がりました。そして2000年代に入ると、芋焼酎が大ブレイク。黒ブームが起こり、黒麹を使った銘柄が全国的に入手困難になるほどの白熱ぶりでした。
〈黒伊佐錦〉発売後、種麹屋の「河内源一郎商店」に、NK菌の注文が殺到したのは言うまでもありません。
芋焼酎造りに使っているのは、さつまいもと水、そして麹だけ。それだけに一つ一つの要素が味を大きく左右します。
〈黒伊佐錦〉が発売後瞬く間に人気銘柄となったのは、緒方社長をはじめ開発に携わった方々の努力の結晶とも言えそうですね。
次回は黒伊佐錦がヒットした要因をさらに深堀りしてお届けいたします。
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