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2021.10.08

焼酎がまろやかになる前割りって何だ?

女将さん

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焼酎がまろやかになる前割りって何だ?

前割りのススメ

みなさん、こんにちは。焼酎の飲み方で前割りというものをご存知でしょうか?

前割りというのは、焼酎を好みの濃度に予め割っておく飲み方で、鹿児島に今も根付いている伝統的な飲み方なんです。焼酎と水を混ぜ合わせた後、一晩から数日間寝かせておくと、焼酎と水がなじんで水割りやお湯割りの作りたてよりもまろやかになりますよ。

何故前割りをすると焼酎がまろやかになる?

焼酎の前割りとは、「前もって焼酎を水で割っておき、それを寝かせておく焼酎」ということになります。この寝かせておくということがミソで、焼酎と水が本当の意味で混ざり合う、いわば馴染ませるために予め割っておくことが大事なんです。

水と一緒に数日間、寝かせておくことで、焼酎のアルコールを水が包みこみ、アルコールの刺激がほどよく軽減されます。焼酎本来の香りはそのままに、まろやかな味わいが楽しめるのです。
前割りは一晩寝かせるだけでも実感できますが、できれば3日から1週間ほど待ちたいところ。焼酎と水がなじむまで、じっくり寝かせてから味わいたいですね。私はいつも4日ほどそのままに寝かせてからいただいています。

実際に飲んでみるとまろやかさが際立つのがお分かりいただけると思います。これこそまさにひとつの完成された焼酎と言えるかもしれません。

焼酎と水の比率に決まりはありません

「前割り」する際、焼酎と水の割合にこれといった決まりはないんです。濃い好き、薄め好き好みで割ってください。濃いめだと焼酎6:水4、一般的には焼酎5:水5で作るのが良いですね。お酒に強くない人は4:6くらいから是非試して見てください。
前割りで飲んでいると自然と好みの濃さがわかってきますよ。

「前割り」焼酎の美味しい作り方

是非、陶器のボトルをご準備ください。なければ遮光の容器であればOKです。お好みの割合で本格焼酎と水を入れ、器をよく振ってください。あとは日の当たらない場所に常温で保管し、一晩から1週間待つだけで出来上がりです。
水はまろやかに仕上げたい場合、軟水を使いましょう。

「前割り」した焼酎は、そのまま飲んでも氷を入れて飲んでもおいしくいただけますが、是非お燗にしてお楽しみください。お燗にすることで焼酎本来の香りが楽しめます。
直火にかけられる焼酎のお燗用酒器「黒千代香(くろぢょか)」があれば、香りを引き出すことができます。ふんわりと広がる香りを楽しむなら、人肌程度の温度ががオススメです。じわじわと温めて、「前割り」焼酎の魅力を余すところなく味わってください。

前割りとはおもてなしの心の表れ?

鹿児島では、古くから自宅にお客様を招待する際、数日前から焼酎を飲みやすい状態に予め割っておき、それを当日お客様に飲んでもらうことを当たり前のこととして行ってきました。つまり、お越し頂くお客様のことを考えて事前に準備を行い、そして出迎える。これこそが鹿児島の人にとって「おもてなしの心」なのです。

これからの季節はお湯割りがおすすめです。そういう意味では前割りは最適な飲み方だと思っています。いつもと違う焼酎が楽しめますので、たまには通な飲み方も良いのではないでしょうか?

この記事を書いた人

女将さん

店長の妻。優しい笑顔でお客様をもてなす。様々な料理に精通しており、店長の創作料理は女将さんあってこそ。趣味は新しいレシピ作り。焼酎は夏でもお湯割派。

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